自分がしないことから始める

経営者としては、スタッフが定時時間内で働けるのに越したことはないと考えるだろう。どの業界でも残業をなくすための努力を続けているものの、達成できているケースはそれほど多くはない。経営者の立場から考えると残業をされた分手当を出さなければならないことになるため、同じ量の業務をするのなら仕事の効率を上げて定時までに終えて欲しいというのが本音である。看護や介護業務を行う現場でも同様の状況があるが、経営者の立場からスタッフを定時に帰らせるのは容易ではない。仕事が終わらないからこそ余計に働いているのが常だからである。仕事を減らすわけにもいかないのなら、スタッフが定時で帰るように促す工夫をしていく他はないだろう。

必ずしも全員が定時に帰りたいと思っているわけではない、という認識を持つことは重要である。好んで残業をしている人たちがいる影響で、誰もが残業をしなければならないと誤解しているスタッフもいる可能性がある。経営者として、まずは残業はしないものであるということを明言することが重要だろう。そして、自らそれを実践して帰るべきであるという姿を見せることが欠かせない。上司が働いているのに先に帰ることはできないという、古くからの日本人的な考え方を持っている人も多いからである。経営者が自ら定時で帰るようにしていれば、仕事が終わりさえすれば帰って良いものだという認識が広まり、次第に個々のスタッフが仕事の効率を上げてくれるだろう。言葉と行動の両方をもって定時に帰るように促すことが大切なのである。